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作成日:2026年7月17日公開日:2026年7月24日
国際教育歴18年(うち12年は米国留学支援)。フィリピン留学コンサルタント「CebuGo」運営。海外留学環境と批判的思考の発達に関する博士研究に従事(人材育成学会)。NPO法人留学協会所属。日本語・韓国語・英語のトリリンガル。
CONTENTS
アメリカのF-1学生ビザを支えてきた「D/S(Duration of Status)制度」が廃止されます。米国国土安全保障省(DHS)が2026年7月17日に最終規則を発表し、同年9月15日から施行されます。この記事では、何がどう変わるのか、今アメリカにいる学生・これから渡航する学生がそれぞれ何をすべきかを、公式情報にもとづいて解説します。
この記事でわかること
※本記事の内容は2026年7月時点の公式発表にもとづきます。施行までに議会審査や訴訟で内容が変わる可能性があるため、渡航・申請前に必ず記事末尾の公式ソースで最新情報を確認してください。
D/S(Duration of Status)とは、「学生の身分を正しく維持している限り、滞在期限なしでアメリカにいられる」という、F-1ビザだけに認められてきた仕組みです。1990年代初頭から30年以上続いてきた、アメリカ留学の土台と言える制度でした。
アメリカに入国すると、滞在資格を示す「I-94」という記録が作られます。観光ビザなら6か月、就労ビザのH-1Bなら3年など、通常はここに滞在期限の日付が入ります。ところがF-1学生だけは、日付の代わりに「D/S」と記載されてきました。
だから留学生は、学業が予定より長引いても、修士から博士に進学しても、卒業後の就労研修制度であるOPT(Optional Practical Training)に進んでも、滞在延長の申請を一度もせずに済んだのです。この「期限を気にしなくていい」状態が、2026年9月15日に終わります。
最大の変化は、滞在期間が「I-20に記載されたプログラム終了日まで、ただし最長4年」という固定期限に変わることです。DHSの公式サイト「Study in the States」によれば、この固定期間に加えて、入国用に30日、出国準備用に30日が付与されます。
I-20とは、入学先の学校が発行する在学証明書のような書類で、プログラムの開始日と終了日が書かれています。今後はこの終了日が、そのまま滞在期限の基準になります。
新旧の違いを表で整理します。
つまり、これまで「学校とのやりとり」で完結していたことの多くが、「移民当局とのやりとり」に変わります。これが今回の変更の本質です。
施行日は2026年9月15日です。ただし留学生が実際に管理すべき日付は、これを含めて4つあります。
特に注意すべきは2つ目です。施行日以降に一時帰国や海外旅行から再入国すると、その時点で新規定が適用され、D/Sの状態は失われます。年末年始の帰国を予定している人は、自分のI-20終了日と再入国後の期限を必ず事前に確認してください。
I-20の終了日を超えて滞在する場合、学生本人が移民局(USCIS)に「I-539」というフォームで滞在延長(Extension of Stay)を申請します。書類の提出、指紋などの生体情報の登録、そして数か月に及ぶ審査を経る手続きです。
従来は、論文の遅れや研究の延長があっても、学校の留学生オフィスがI-20を延長すれば済みました。今後は違います。延長理由が不十分と判断されたり、追加書類の要請(RFE: Request for Evidence)が入れば、審査はさらに長引きます。
これが意味するのは、「論文の遅れは、学校の問題であると同時に移民法の問題になった」ということです。卒業スケジュールの管理が、留学設計の中心課題になります。
OPT(卒業後の就労研修)を予定している人は、OPT申請とは別に滞在延長申請が必要になるケースが生じます。ただし、最終規則には重要な救済措置が盛り込まれました。
DHSの公式発表によれば、施行日(2026年9月15日)時点でD/Sの状態でアメリカ国内に滞在している学生が、2027年3月18日までにOPTまたはSTEM OPT(理系分野の延長OPT)を適時申請する場合、別途の滞在延長申請は不要です。
一方で、リスクが大きいのは「OPT申請前に出国し、再入国する」パターンです。再入国の時点で固定期限付きの滞在資格に切り替わるため、OPT申請と滞在延長申請の両方が必要になります。手続きの順序を誤ると、「OPTは承認されたのに滞在期限が切れている」という事態が起こり得ます。OPTを視野に入れている人は、渡航計画を立てる前に必ず学校の留学生オフィスか専門家に相談してください。
卒業後にアメリカに滞在できる猶予期間(グレースピリオド)は、60日から30日に半減します。
従来の60日間は、大学院への進学準備、他校への編入、就労ビザへの切り替えなど、「次の一手」を整える貴重な時間でした。これが半分になるということは、卒業後に考え始めたのでは間に合わない、ということです。
目安として、OPTや大学院進学の準備は最低6か月前から始めてください。在学中から逆算して動くことが、新制度下では必須になります。
原則として、大幅に制限されます。学部生は入学後1年間、専攻変更と転校ができません(特別な事情があり政府承認を得た場合を除く)。大学院生はさらに厳しく、プログラム途中の専攻変更が原則不可となり、転校もプログラム終了まで原則できません。
これまでアメリカ留学では、「まず入りやすい学校に入学し、成績を上げて上位校にトランスファーする」という戦略が広く使われてきました。この戦略が通用しなくなる可能性が高い、ということです。出願の時点で「どの学校で、何を、何年で学ぶか」を確定させておく必要があります。
なお、この転校・専攻変更の制限については、DHSが施行日から最大2年間、適用を延期または停止できる権限を持っています。実際に延期されるかはまだ発表されていないため(2026年7月時点)、今後の官報とSEVP(学生・交流訪問者プログラム)の発表を確認する必要があります。
アメリカでの語学研修プログラム(ESL)による滞在は、通算24か月が上限になります。2年を超えてアメリカで語学研修を続けることは、事実上できなくなります。
これは「語学力はアメリカに行ってから伸ばせばいい」という発想が成り立たなくなることを意味します。今後は、渡米前に語学力とスコアを固め、アメリカでの時間を学位取得や専門教育に集中させる設計が合理的です。
短期集中で英語の土台を作る選択肢としては、マンツーマン授業を中心とするフィリピン留学も有力です。ただし、環境を変えるだけで力が付くわけではありません。どの環境が自分に合うかは人によって異なります。
すでにD/Sで滞在中の学生には経過措置があり、現在有効なI-20の終了日までは延長申請なしで滞在できます(上限は2030年11月14日)。慌てて何かを申請する必要はありませんが、自分がどのケースに当たるかの確認は今すぐ必要です。
I-94の記録は、米国税関・国境警備局(CBP)の公式サイトでいつでも確認できます。今後は入国のたびに自分のI-94を確認する習慣をつけてください。
今回の変更は、数十年続いたF-1制度の最大の転換点です。ただし、アメリカ留学ができなくなったわけではありません。変わったのは、「滞在期限・卒業時期・進路の切り替えを、学生自身が事前に設計し管理しなければならなくなった」という点です。
私はこの変化を、留学全体の流れの縮図だと捉えています。海外の環境に身を置きさえすれば何とかなる、という時代は制度の面からも終わりつつあります。18年間この業界で学生を見てきて確信しているのは、成果を分けるのは渡航先ではなく、渡航前の設計と渡航中の伴走だということです。
アメリカ留学を予定している方、現地で学んでいるご本人・ご家族の方で、今回の制度変更が自分の計画にどう影響するか整理したい方は、留学設計の無料相談をご利用ください。あなたの状況を確認したうえで、確認すべき書類と取るべき手順を一緒に整理します。
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Q1. すでにアメリカに留学中です。2026年9月15日に何か申請が必要ですか?
A. いいえ、施行日の時点で自動的に必要になる申請はありません。D/Sで滞在中の学生は、現在有効なI-20の終了日(上限2030年11月14日)まで滞在できる経過措置があります。ただし施行日以降に出国・再入国すると新規定が適用されるため、渡航前の確認は必須です。
Q2. F-1ビザそのもの(パスポートのビザシール)の有効期限とI-94の期限は同じですか?
A. 別物です。ビザシールは「アメリカに入国申請できる期限」、I-94は「アメリカに滞在できる期限」を示します。今回変わるのは後者のI-94の扱いです。滞在管理で見るべきはI-94の期限であり、CBPの公式サイトで確認できます。
Q3. 4年で卒業できない場合、留学は続けられませんか?
A. 続けられます。ただしI-539フォームによる滞在延長をUSCISに申請し、承認される必要があります。審査には数か月かかるため、卒業が遅れる見込みが立った時点で、学校の留学生オフィスと専門家に早めに相談してください。
Q4. これからアメリカの語学学校に長期留学する予定です。影響はありますか?
A. あります。語学研修(ESL)での滞在は通算24か月が上限になります。2年を超える語学留学は組めなくなるため、語学力の土台を渡米前に作り、アメリカでは学位や専門課程に時間を使う設計への切り替えをおすすめします。
増本 圭(CebuGo運営)
国際教育歴18年、うち12年はアメリカ留学支援(TOP100大学進学サポート)に従事。現在はフィリピン留学コンサルタントとして留学設計と学習伴走を提供。海外留学環境と批判的思考の発達に関する博士研究に従事(人材育成学会)。NPO法人留学協会所属。日本語・韓国語・英語のトリリンガル。
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