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作成日:2026年8月10日公開日:2026年8月21日
「ワーホリ=1年間自由に働いて学べる」と思っていませんか? 実は2026年8月時点で対象となる32か国・地域ごとに、発給枠や就学・就労期間の上限といった条件は大きく異なります。本記事では、外務省の全リストと各国政府の公式資料をもとに、地域別のリアルな制度の違いを徹底解説します。後悔しない渡航先選びのために必見の内容です。
ワーキングホリデー(以下、ワーホリ)で行ける国は、2026年8月時点で32か国・地域です。オーストラリアやカナダだけではありません。年間発給枠が30人しかない国もあれば、上限がまったくない国もあります。
この記事では、外務省が公表している協定国の全リストと、各国政府の公式資料から確認できる条件の違いを、地域別に整理します。
先にひとつ、お伝えしておきます。「1年間、好きなだけ働いて学べる」という理解は、多くの国で正確ではありません。語学学校に通える期間には上限があり、同じ雇用主のもとで働ける期間にも制限があります。その理由も含めて解説します。
CONTENTS
ワーキングホリデーは、二国間の取り決めに基づき、若者が相手国で休暇を主な目的として長期滞在し、その資金を補うために就労できる制度です。就労を主目的とする人は対象外である、と各国政府が明記しています。
つまり、就労ビザではありません。目的はあくまで「その国の文化と生活に触れること」であり、働くことはその手段として認められている——この建て付けが、後述する数々の制限を生んでいます。
日本では1980年12月1日、オーストラリアとの間で最初の制度が始まりました。以来45年をかけて協定国が広がり、現在の32か国・地域に至ります(外務省,2026)。
32か国・地域です。外務省(2026)の公表資料(令和8年4月1日現在)による全リストが以下です。
※発給枠は日本国籍者に対する年間の数。アルゼンチン・エストニア・フィンランドは往復で枠が異なるため、日本から渡航する側の数を記載しています。
出典:外務省(2026)「ワーキング・ホリデー制度」(2026年8月確認)
最小30人から上限なしまで、極端な開きがあります。枠の大きさで整理すると3層に分かれます(外務省,2026)。
第1層:枠が設定されていない国(8か国) オーストラリア、ニュージーランド、ドイツ、デンマーク、ノルウェー、ポルトガル、スウェーデン、フィンランド
第2層:枠が1,000人以上の国(6か国) 韓国(10,000)、台湾(10,000)、カナダ(6,283)、英国(6,000)、フランス(1,800)、香港(1,500)
第3層:枠が1,000人未満の国(18か国) アイルランド(800)、スペイン(700)、ポーランド(500)、イタリア(500)、チェコ(400)、スロバキア(400)ほか
注意すべきは、枠の大きさと「取りやすさ」が一致しないことです。カナダは6,283という大きな枠を持ちながら抽選制で、プールに登録して招待状を待つ必要があります(Immigration, Refugees and Citizenship Canada [IRCC],2026)。一方、アイルランドは枠が800と小さいものの、年2回の募集期間に書類を出す先着方式です(Embassy of Ireland, Japan,2026)。制度の仕組みまで見ないと、実際の難易度は判断できません。
同じ「ワーホリ」でも、地域によって設計思想がまったく違います。各国政府の公式資料から確認できた内容を、地域別に整理します。
日本人の渡航先として最も選ばれてきた地域です。制度が成熟しており、公式情報も充実しています。
英語圏で最も見落とされているのが、オーストラリアの就学4か月という上限です。12か月滞在しても、語学学校に通えるのは3分の1の期間だけです。
英語圏以外で日本人渡航者が多い地域です。申請料が無料の国が目立ちます。
2026年に2か国が加わり、選択肢が広がった地域です。
最低賃金の制度がないという点で、他地域と決定的に異なります。詳しくは後述します。
ポーランド(500)、チェコ(400)、スロバキア(400)、ハンガリー(200)、リトアニア(100)、ラトビア(100)、エストニア(枠なし)。
この地域は、日本人向けの公式情報がほとんど公開されていません。外務省が発給枠と開始年を公表しているものの、各国政府が日本語または英語で申請要件を案内しているケースは限られます。スロバキアは生涯2回参加できる数少ない国のひとつです。
渡航を検討する場合は、外務省のページから駐日公館のリンクをたどり、直接照会してください。
正確ではありません。多くの国で、就学期間・就労形態・参加回数のいずれかに制限があります。
これがワーホリで最も見落とされている条件です。
出典:各国政府の公式ビザ案内ページを2026年8月に確認。オーストラリアはDepartment of Home Affairs(2026)、ニュージーランドはImmigration New Zealand(2026)、ノルウェーはNorwegian Directorate of Immigration(2026)、アイルランドはImmigration Service Delivery(2026)、香港はImmigration Department, HKSAR(2026)による。
オーストラリアは12か月の滞在中、就学できるのは最大4か月です(Department of Home Affairs,2026)。英語を学ぶために1年間を使うつもりで渡航すると、計画が成り立ちません。
オーストラリアでは原則として同一雇用主のもとでの就労は6か月まで(Department of Home Affairs,2026)、アルゼンチンと香港も6か月までと定められています。デンマークはさらに厳しく、滞在12か月のうち就労できるのは合計6か月まで、しかも月単位でカウントされます(Danish Agency for International Recruitment and Integration [SIRI],2026)。
一方、英国・韓国・フィンランド・オランダ・ニュージーランドには、同一雇用主に関する期間制限がありません。現地でキャリアを積みたい人にとっては大きな差になります。
多くの国が「生涯1回のみ」と定めています。一度ビザが発給されると、実際に渡航しなかった場合でも再申請できない国があります。
生涯2回まで参加できるのは、カナダ・スロバキア・韓国・台湾・アイルランドです。カナダは2024年12月、アイルランドは2025年1月、韓国は2025年10月、台湾は2026年2月と、いずれもここ数年で緩和されました(外務省,2026)。英国は回数こそ1回ですが、1回で最長2年間滞在できます(UK Home Office,2026)。
ここで注意が必要です。 日本語のサイトには「ドイツやニュージーランドも2回参加できるようになった」という記述が見られますが、これはそれらの国の国籍者が日本へ来る場合の緩和です。日本人がドイツやニュージーランドへ行く場合の回数は、依然として生涯1回のままです。外務省(2026)の資料は、この二つを明確に分けて記載しています。
「人気だから」ではなく、目的を4つの軸に当てはめて選ぶのが確実です。
英語圏かつ就学期間の上限が長い国が候補になります。英国(上限なし・最長2年)、アイルランド(6か月)、マルタ(英語が公用語)が該当します。
ただし、就学期間に上限があるということは、渡航前の準備が結果を左右するということでもあります。
法定最低賃金の水準が判断材料になります。
円換算は2026年8月17日時点の為替レートによる目安(AUD:112.83円、NZD:93.60円、GBP:214.90円、EUR:184.20円、KRW:0.1125円。三井住友銀行公表レートを使用)。実際の受取額は為替変動により異なります。
出典:各国労働当局の公式発表(2026年確認)。オーストラリアはFair Work Commission(2026)、ニュージーランドはMinistry of Business, Innovation and Employment(2026)、アイルランドはLow Pay Commission Ireland(2026)、英国はLow Pay Commission UK(2026)、フランスはMinistère du Travail(2026)、ドイツはMindestlohnkommission(2026)、韓国は最低賃金委員会(2026)による。
ここで重要な事実があります。スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、アイスランド、オーストリア、イタリアの7か国には、全国一律の法定最低賃金が存在しません。これらの国では産業別の労働協約が賃金を決めます。「最低賃金が高い北欧」というイメージで選ぶと、前提から違うことになります。
抽選や募集期間の制約がなく、枠に余裕がある国が向いています。オーストラリア、ニュージーランド、ドイツ、フィンランドなど枠のない国は、条件を満たせば通年で申請できます。
枠が1,000人未満の18か国は、日本人渡航者が少なく、日本語の情報も限られます。裏を返せば、日本人コミュニティに頼らない環境に身を置きたい人には適しています。
減っています。日本国籍者への発給実績を公表している国のデータで、そろって前年割れが確認できます。
出典:Department of Home Affairs(2025)、Immigration New Zealand(2026)、Immigration Department, HKSAR(2025)。カナダと英国は日本国籍者向けの発給実績を公表していない。
オーストラリアの内訳を見ると、構造がよくわかります。初回ビザが前年比23.6%減の10,920件だった一方、2年目のビザは60.0%増の4,126件、3年目は402.7%増の1,136件でした(Department of Home Affairs,2025)。
新しく渡航する人が減り、すでに現地にいる人が帰らなくなっている。これが数字の示す現実です。
さらに、同じレポートの国籍別ランキングでは、日本は2023-24年度の4位から2024-25年度は7位へ後退しました。英国(79,412件)、フランス(41,937件)、アイルランド(24,165件)が軒並み二桁の伸びを示すなかで、上位10か国のうち日本だけが前年より減っています(Department of Home Affairs,2025)。
環境に身を置くだけでは、期待するほど伸びません。これは各国の制度そのものが示しています。
思い出してください。オーストラリアで語学学校に通えるのは最大4か月、ノルウェーは3か月です。残りの期間は、英語を「学ぶ」のではなく「使いながら働く」時間になります。
そして働く現場は、多くの場合ホスピタリティや農業といった、決まったやり取りの繰り返しが中心になる職種です。そこで身につくのは業務に必要な範囲の会話であり、議論したり自分の考えを組み立てて伝えたりする力とは別のものです。
海外に行けば自然に力がつく、という前提そのものを疑う必要があります。この点については、867の研究を統合したメタ分析が示した知見があります。「環境に浸すだけ」のモデルは効果が低く、明示的な指導と対話を組み合わせたときに初めて成果が出る——詳しくは権威ハブ記事で解説しています。
[関連記事: 権威ハブ記事(留学 批判的思考)]
18年間、留学の現場を見てきて確信していることがあります。ワーホリで成果を出す人は、渡航前にすでに英語の土台を作っている人です。現地で英語を身につけようとした人ではありません。
就学期間に上限がある以上、限られた学習期間をどう使うかは渡航前に決まります。渡航してから考えるのでは、4か月はあっという間に過ぎます。
自分がワーホリに向いているタイプなのか、それとも先に準備が必要なタイプなのかを確かめたい方は、こちらの記事が参考になります。
[内部リンク: ワーホリ記事#14(ワーホリ 向いている人)] 9月公開予定
Q1. ワーキングホリデーで行ける国は何か国ですか?
2026年8月時点で32か国・地域です。2026年にマルタ(1月1日)とイタリア(4月1日)が新たに加わりました。最新の一覧は外務省の「ワーキング・ホリデー制度」のページで確認できます。
Q2. ワーホリの年齢制限は何歳までですか?
多くの国で「申請時に18歳以上30歳以下」です。ただしデンマークは31歳以下と定めており、フランスは「31歳の誕生日の前日まで」と表現しています。また、年齢の判定が申請時点か入国時点かは国によって異なります。渡航先の当局サイトで必ず確認してください。
Q3. ワーホリ中に語学学校へ通えますか?
通えますが、期間に上限がある国があります。オーストラリアは最大4か月(Department of Home Affairs,2026)、ニュージーランドとアイルランドは6か月(Immigration New Zealand,2026;Immigration Service Delivery,2026)、ノルウェーは3か月(Norwegian Directorate of Immigration,2026)です。一方、英国や韓国のように上限の定めがない国もあります。
Q4. 同じ国に2回行けますか?
生涯2回まで参加できるのは、カナダ・スロバキア・韓国・台湾・アイルランドです。それ以外の国は原則として生涯1回のみで、ビザが発給された後に渡航しなかった場合でも再申請できない国があります(外務省,2026)。
Q5. ビザの申請料が無料の国はどこですか?
日本国籍者に対して申請料を免除している国には、フランス、ドイツ、スペイン、ポルトガル、香港、韓国、オーストリアなどがあります。二国間の相互免除の取り決めによるものです。一方、フィンランドは530ユーロ、英国は340ポンド(別途、医療サーチャージ1,552ポンド)、オーストラリアは840豪ドルと、有料の国もあります。
Q6. どの国が一番おすすめですか?
目的によって変わります。英語を学びたいなら就学期間の上限が長い国、稼ぎたいなら法定最低賃金の高い国、確実に行きたいなら発給枠のない国が候補になります。ただし、どの国を選んでも、渡航前にどこまで英語を仕上げておくかが結果を大きく左右します。
増本 圭(ますもと けい)
国際教育に携わって18年。うち12年はアメリカ留学の支援を担当し、現在はフィリピン留学コンサルタント「CebuGo」を運営しています。
自身も社会人になってから英語を学び直し、最初の留学先はフィリピンでした。その後オーストラリアとカナダで学んだ経験から、大人の初学者がつまずくポイントを実感を持って理解しています。
現在は、海外留学環境が学習者の批判的思考の発達にどう影響するかをテーマに、人材育成学会で博士研究に取り組んでいます。NPO法人留学協会所属。日本語・韓国語・英語のトリリンガル。
ワーホリは、行く国を決めた時点で結果の半分が決まります。就学できる期間、働ける条件、そして渡航前にどこまで英語を仕上げておくべきか——この3つを最初に設計しておくかどうかで、1年後に手元に残るものが変わります。
CebuGoでは、渡航先選びと出発前の準備設計について無料でご相談を承っています。まだ国を決めていない段階でも構いません。
[無料コンサルティング予約: https://cebugo.jp/booking/]
Danish Agency for International Recruitment and Integration. (2026). Working holiday for Japanese citizens. SIRI / New to Denmark. https://www.nyidanmark.dk/
Department of Home Affairs, Australian Government. (2025). Working Holiday Maker visa program report: 30 June 2025. https://www.homeaffairs.gov.au/research-and-stats/
Department of Home Affairs, Australian Government. (2026). Working Holiday visa (subclass 417). https://immi.homeaffairs.gov.au/visas/getting-a-visa/visa-listing/work-holiday-417
Embassy of Ireland, Japan. (2026). Working Holiday programme. https://www.ireland.ie/ja/japan/tokyo/services/visas/working-holiday-programme/
Fair Work Commission. (2026). Annual wage review 2025–26 decision. https://www.fwc.gov.au/
Immigration Department, Hong Kong Special Administrative Region Government. (2025). Annual report 2024: Appendix 5 — Statistics on visas/entry permits issued. https://www.immd.gov.hk/
Immigration Department, Hong Kong Special Administrative Region Government. (2026). Working Holiday Scheme. https://www.immd.gov.hk/
Immigration, Refugees and Citizenship Canada. (2026). International Experience Canada: Rounds of invitations. https://www.canada.ca/en/immigration-refugees-citizenship/services/work-canada/iec.html
Immigration New Zealand. (2026). Japan Working Holiday Visa. https://www.immigration.govt.nz/
Immigration Service Delivery, Department of Justice, Ireland. (2026). Working holidays in Ireland. https://www.irishimmigration.ie/
Low Pay Commission Ireland. (2026). National minimum wage 2026. https://www.gov.ie/
Low Pay Commission UK. (2026). National Living Wage and National Minimum Wage rates from April 2026. https://www.gov.uk/
Maahanmuuttovirasto [Finnish Immigration Service]. (2026). Residence permit application for working holiday. https://migri.fi/
Mindestlohnkommission. (2026). Fünfte Verordnung zur Anpassung der Höhe des Mindestlohns. https://www.mindestlohn-kommission.de/
Ministère du Travail, France. (2026). Le SMIC. https://travail-emploi.gouv.fr/
Ministry of Business, Innovation and Employment, New Zealand. (2026). Minimum wage rates. https://www.employment.govt.nz/
Norwegian Directorate of Immigration. (2026). Working holiday for young adults from Japan. https://www.udi.no/
UK Home Office. (2026). Youth Mobility Scheme visa. https://www.gov.uk/youth-mobility
在日フランス大使館. (2026). ワーキング・ホリデー・ビザ. https://jp.diplomatie.gouv.fr/ja/visa-vacances-travail
外務省. (2026). ワーキング・ホリデー制度(令和8年4月1日現在). https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/working_h.html
最低賃金委員会(韓国). (2026). 2026年適用最低賃金決定. https://www.minimumwage.go.kr/
三井住友銀行. (2026, 8月17日). リアルタイム為替レート. https://www.smbc.co.jp/ex/ExchangeServlet?ScreenID=real
本記事の制度情報は2026年8月時点で各国政府の公式資料を確認したものです。ビザ要件・発給枠・申請期間・最低賃金は変更されることがあります。申請前に必ず各国の当局または駐日公館の公式ページでご確認ください。
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