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作成日:2026年8月27日公開日:2026年9月01日
ワーホリは1年間語学学校に通えると思っていませんか?実はオーストラリアなら最大4か月など、国ごとに就学期間の上限が厳格に定められています。この事実を知らずに渡航すると計画が破綻するリスクも。各国政府の公式資料に基づく最新のルールと、失敗しない渡航準備のポイントを解説します
ワーホリで語学学校に通える期間には上限があります——3か月の国から無制限の国まで
ワーキングホリデーで語学学校に通える期間は、国によって3か月から無制限まで開きがあります。そして最も人気のあるオーストラリアは、12か月の滞在中、最大4か月しか通えません。
この事実を知らずに渡航する人は少なくありません。「1年間、語学学校に通いながら働く」と考えている方は、この記事で計画を見直してください。
各国政府の公式資料から確認できた就学上限を整理し、それが渡航前の準備にどう影響するかを解説します。
CONTENTS
はい、大きく違います。各国政府がビザの条件として定めており、超過すると違反になります。
2026年8月時点で、各国の公式資料から確認できた就学上限は次のとおりです。
出典:各国政府の公式ビザ案内ページを2026年8月に確認。オーストラリアはDepartment of Home Affairs(2026)、ニュージーランドはImmigration New Zealand(2026)、ノルウェーはNorwegian Directorate of Immigration(2026)、アイルランドはEmbassy of Ireland, Japan(2026)、香港はImmigration Department, HKSAR(2026)、英国はUK Home Office(2026)、フィンランドはMaahanmuuttovirasto(2026)、オランダはImmigration and Naturalisation Service [IND](2026)、マルタはIdentità(2026)による。
ワーキングホリデーが「学生ビザ」ではないからです。
制度の定義を思い出してください。ワーキングホリデーは、休暇を主な目的として相手国に長期滞在し、その資金を補うために就労できる制度です(外務省,2026)。「学ぶこと」は主目的として想定されていません。
各国が就学に上限を設けているのは、フルタイムの就学が目的なら学生ビザを取得すべきだという制度設計の表れです。ノルウェー移民局はこの点を最も明確に示しており、「3か月を超える就学計画がある場合は、学生ビザの取得を検討してください」と公式に記載しています(Norwegian Directorate of Immigration,2026)。
違います。ここが最も混乱しやすい点です。
上の表で「公式に記載なし」とした国は、カナダ・フランス・ドイツ・イタリア・スペイン・ポルトガル・デンマークなどです。
これらの国の公式ビザ案内ページには、就学期間に関する記載が見つかりませんでした。「上限がない」と明記されているわけでも、「上限がある」と書かれているわけでもありません。
日本語の留学エージェントサイトでは、これらの国について「就学制限なし」と断定しているケースがありますが、政府が「制限なし」と明言していない以上、断定はできません。
渡航前に、駐日大使館または現地の移民当局に直接確認することを強くお勧めします。
12か月の滞在中、語学学校に登録して授業を受けられるのが最大4か月ということです。
オーストラリア内務省は、サブクラス417(ワーキングホリデー)ビザの保持者に対し、就学は最大4か月間までと規定しています(Department of Home Affairs,2026)。
4か月というのは、実質的に17週間です。語学学校の1タームが4週間だとすると、約4ターム分にあたります。
ゼロから始めて4か月で到達できるレベルには限界があります。
Cambridge Assessment English(2026)が公表している目安によれば、英語のCEFRレベルをひとつ上げるのに必要な学習時間は約200時間(Guided Learning Hours)です。フルタイムの語学学校で週25時間学ぶとすると、4か月(約17週間)で425時間。到達できるのは、おおよそ2レベル分です。
つまり、完全な初学者(A0)から始めた場合、4か月後にA2(基礎的な日常会話レベル)に到達できる計算になります。職場で意見を述べたり、議論に参加したりするレベル(B2以上)には、物理的に届きません。
ニュージーランド政府が2004年に実施した調査によれば、ワーキングホリデー参加者は滞在期間の約55%を労働に充てていました。就労先の職種はホスピタリティが17%、農業が14%、果物収穫が7%、販売が7%でした(New Zealand Immigration Service,2004)。この調査は全国籍の参加者を対象としたニュージーランドのデータであり、オーストラリアや日本人に限ったものではありません。しかし、ワーホリ参加者がどのような現場で働いているかを示す数少ない政府調査のひとつです。
つまり、就学できない残りの期間の大半は、飲食業や農業の現場で働いている可能性が高い。そこで身につくのは業務に必要な範囲の英語です。それ自体に価値はありますが、議論したり自分の考えを組み立てて伝えたりする力とは別のものです。
就学の上限がオーストラリアの1.5倍あり、しかも滞在期間自体を延長できます。
ニュージーランドのワーキングホリデーは、基本の滞在が12か月ですが、指定された季節労働に3か月従事すれば3か月延長でき、最長15か月になります(Immigration New Zealand,2026)。就学はそのうち最大6か月まで認められています。
6か月あれば、先ほどの計算で約3レベル分の学習が可能です。完全な初学者でもB1(中級・自立した言語使用者)に手が届く計算になります。この差は小さくありません。
加えて、審査が速い。ニュージーランド移民局の処理実績によれば、申請の8割が1.5週間以内に決定されています(Immigration New Zealand,2026)。
制度の設計思想が違うからです。
英国のユース・モビリティ・スキーム(YMS)は、他国のワーキングホリデーと名称も構造も異なります。最長2年間の滞在が認められ、就学にも就労にも期間の上限がありません(UK Home Office,2026)。
一方、オーストラリアやニュージーランドのワーキングホリデーは、「休暇」を主目的とした制度としてスタートしました。就学と就労はあくまで副次的な活動として位置づけられており、そのために期間の上限が設けられています。
同じ「ワーホリ」でも、英国のYMSだけは別の制度と考えたほうが実態に近い。
使い方によっては、渡航直後の安全装置になります。
ここまで上限を制約として説明してきましたが、視点を変えると別の意味が見えてきます。
ワーキングホリデーで渡航した直後、多くの人が同時に3つの課題に直面します。住む場所を決める。仕事を見つける。移動手段を確保する。どれも現地の事情を知らないと判断できません。
このとき、渡航直後の1〜3か月を語学学校に充てておくと、生活基盤を整える期間を確保できます。学校が住居を提供する場合もあり、その間に地域の相場や求人の実態を調べられます。
就学上限が4か月のオーストラリアなら、1〜3か月を情報収集期間に使っても、残りを別の学習に回す余地があります。
ここが重要です。
語学学校で最も身近な情報源は、同じ立場の留学生です。しかしその多くは、自分と同じく到着したばかりの人たちです。彼らが持っている情報は、自分と同程度か、それ以下のことがあります。
現地に長く住んでいる学校の職員や講師のほうが、地域の実情を知っています。どの地域の家賃が上がっているか、どの業種が人手を探しているか、どの手続きに時間がかかるか。こうした情報は、現地で生活を続けている人でなければ持っていません。
ワーキングホリデーの経験だけを持つ人に頼ることにも限界があります。その人が到達した範囲の情報しか得られないためです。
Bandura(1997)は、他者の成功を見ることで自分にもできると感じる「代理経験」について、その効果はモデルと自分の類似性に左右されると述べています。似た立場の人の成功は効力感を高めますが、裏を返せば、参照するモデルの幅が狭いと、自分の可能性の見積もりもその幅に縛られるということです。
情報源を意識的に広げること。これは渡航後の1年を大きく左右します。
ビザ条件の違反になります。
オーストラリアの場合、ビザ条件8201(就労・就学条件)に違反すると、ビザの取り消し対象となります(Department of Home Affairs,2026)。取り消された場合、3年間はオーストラリアのビザ申請ができなくなる可能性があります。
ノルウェーでは、3か月を超えて就学を続ける場合、ワーキングホリデービザから学生ビザへの切り替えが必要です(Norwegian Directorate of Immigration,2026)。切り替えが認められなければ、就学を中断するか帰国することになります。
「バレなければ大丈夫」という判断は、ビザの取り消しと再入国禁止のリスクに見合いません。
就学に上限があるということは、渡航前にどこまで英語を仕上げておくかが結果を左右する、ということです。
4か月しか学校に通えないオーストラリアで、ゼロからA2にたどり着いたとしても、残りの8か月を「英語環境」で過ごせる保証はありません。
カナダ滞在の韓国人ワーホリ参加者59名への調査(Yoon,2015)は、エスニック系の飲食店で働いていた参加者が、現地の人と知り合う実質的な機会を得られなかったことを報告しています。オーストラリア滞在の台湾人参加者28名への調査(Chang & Chao,2020)でも、他国籍の同僚との会話が怖くて沈黙を選び続けた参加者の事例が記録されています。
英語圏に行けば英語漬けになれる、というわけではない。そして就学できる期間は限られている。この2つの事実を重ねると、渡航前の準備が持つ意味が変わります。
渡航前に英語で聞き返す経験、多国籍の環境に身を置く経験、予定外の事態を自力で解決する経験を積んでおくことで、現地での行動が変わります。Bandura(1997)は、行動を起こせるという感覚——自己効力感——を形成する最も強い要因は、実際にやってみて成功した経験だと述べています。
自分がワーホリに向いているタイプなのか、先に準備が必要なタイプなのかを確かめたい方は、5つの問いで判断できます。
ワーホリに向いている人、向いていない人を判断する5つの問い
渡航先ごとの就学上限を含む全条件は、32か国の全リストで確認できます。
ワーキングホリデー国一覧|32か国の発給枠と条件
Q1. ワーホリで語学学校に何か月通えますか?
国によって異なります。オーストラリアは最大4か月、ニュージーランドとアイルランドは6か月、ノルウェーは3か月です。英国やフィンランドのように上限のない国もあります。カナダやフランスなど、公式資料に記載がない国もあるため、渡航前に当局へ直接確認してください。
Q2. オーストラリアのワーホリで語学学校に4か月以上通ったらどうなりますか?
ビザ条件の違反になります。ビザ条件8201(就労・就学条件)に違反した場合、ビザの取り消し対象となり、取り消された場合は3年間オーストラリアへの再入国が制限される可能性があります(Department of Home Affairs,2026)。
Q3. 「就学制限なし」と「公式に記載なし」は同じ意味ですか?
違います。「制限なし」は政府が明確に上限を設けていないと確認できた国です。「公式に記載なし」は、ビザ案内ページに就学期間に関する記載が見つからなかった国です。制限がないという意味ではないため、渡航前に当局へ確認することをお勧めします。
Q4. ワーホリの就学上限は、オンライン授業にも適用されますか?
オンライン授業が就学上限の対象に含まれるかどうかは、各国の公式資料に明記されていません。国や状況によって解釈が異なる可能性があるため、渡航先の移民当局へ直接確認してください。
Q5. 語学学校には何か月通うのが最適ですか?
目的によって変わります。 渡航直後の生活基盤づくりを優先するなら、1〜3か月を情報収集の期間として使う方法があります。この場合、同じ立場の留学生からではなく、現地に長く住む学校の職員や講師から情報を得ることで、地域の実情に即した判断ができます。英語力そのものを伸ばすことが目的なら、就学上限いっぱいまで使う選択もあります。
Q6. 英語力ゼロでもワーホリに行けますか?
ビザの申請に英語力の要件を課している国は、32か国中ほぼありません。しかし、渡航後に語学学校に通える期間には上限があります。オーストラリアなら4か月です。ゼロから始めて4か月で到達できるレベルには限界があるため、渡航前に基礎を作っておくことで、現地での選択肢が広がります。
増本 圭(ますもと けい)
国際教育に携わって18年。うち12年はアメリカ留学の支援を担当し、現在はフィリピン留学コンサルタント「CebuGo」を運営しています。
自身も社会人になってから英語を学び直し、最初の留学先はフィリピンでした。その後オーストラリアとカナダで学んだ経験から、大人の初学者がつまずくポイントを実感を持って理解しています。
現在は、海外留学環境が学習者の批判的思考の発達にどう影響するかをテーマに、人材育成学会で博士研究に取り組んでいます。NPO法人留学協会所属。日本語・韓国語・英語のトリリンガル。
語学学校に通える期間が決まっている以上、その時間をどう使うかは渡航前に設計する必要があります。
CebuGoでは、渡航先の就学上限を踏まえた準備設計について無料でご相談を承っています。「準備は不要です」とお伝えすることもあります。まだ国を決めていない段階でも構いません。
Bandura, A. (1997). Self-efficacy: The exercise of control. W. H. Freeman.
Cambridge Assessment English. (2026). International language standards. https://www.cambridgeenglish.org/
Chang, W., & Chao, R.-F. (2020). The experiences of Taiwanese working holiday makers in Australia. International Journal of Business and Applied Social Science.
Department of Home Affairs, Australian Government. (2026). Working Holiday visa (subclass 417). https://immi.homeaffairs.gov.au/visas/getting-a-visa/visa-listing/work-holiday-417
Embassy of Ireland, Japan. (2026). Working Holiday programme. https://www.ireland.ie/ja/japan/tokyo/services/visas/working-holiday-programme/
Identità, Malta. (2026). Working Holiday Visa. https://www.identita.gov.mt/
Immigration and Naturalisation Service [IND], Netherlands. (2026). Working Holiday Scheme. https://ind.nl/
Immigration Department, Hong Kong Special Administrative Region Government. (2026). Working Holiday Scheme. https://www.immd.gov.hk/
Immigration New Zealand. (2026). Japan Working Holiday Visa. https://www.immigration.govt.nz/
Maahanmuuttovirasto [Finnish Immigration Service]. (2026). Residence permit application for working holiday. https://migri.fi/
New Zealand Immigration Service. (2004). Working holidaymakers in New Zealand (Immigration Research Programme). https://www.mbie.govt.nz/
Norwegian Directorate of Immigration. (2026). Working holiday for young adults from Japan. https://www.udi.no/
UK Home Office. (2026). Youth Mobility Scheme visa. https://www.gov.uk/youth-mobility
Yoon, K. (2015). A national construction of transnational mobility in the “overseas working holiday phenomenon” in Korea. Journal of Intercultural Studies, 36(1), 71–87.
外務省. (2026). ワーキング・ホリデー制度(令和8年4月1日現在). https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/working_h.html
本記事の制度情報は2026年8月時点で各国政府の公式資料を確認したものです。ビザ要件・就学上限は変更されることがあります。申請前に必ず各国の当局または駐日公館の公式ページでご確認ください。
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