オーストラリアのワーホリは、いま何が変わったのか——2026年最新の申請条件と3年滞在の設計

2026年最新のオーストラリアワーキングホリデー申請条件と3年滞在設計を解説するスライド表紙

作成日:2026年9月16日
公開日:2026年9月21日

筆者:増本 圭
(留学コンサルタント/教育研究者)

2026年9月、オーストラリアのワーホリ事情が激変しました。
「シドニーのカフェで88日働けばセカンドビザが取れる」と思っていませんか?実はそれ、ビザ延長には1日もカウントされない最大の落とし穴です。他国が35歳に引き上げられる中、日本は30歳のまま据え置かれた事実や、審査遅延のリアルなど、公式情報に基づく最新ルールを徹底解説しています。失敗しない1年を設計するために、渡航前に必ず読んでおくべき必読ガイドです。

 

 ワーホリで語学学校に通える期間には上限があります——3か月の国から無制限の国まで

 2026年、オーストラリアのワーキングホリデーは大きく動きました。申請料が改定され、韓国など4か国の年齢上限が35歳に引き上げられ、日本からの申請には審査の遅延が生じています。

 そのうえで、制度には同じ言葉が2つの場面で違う意味を持つという、見落としやすい仕組みがあります。

 観光・ホスピタリティの仕事は、同一雇用主6か月制限の免除対象です。オーストラリア全土で、1年間同じカフェやホテルで働けます

 ところが、セカンドビザを取るための指定労働として認められる観光・ホスピタリティは、北部や遠隔地に限定されています。シドニーやメルボルンのカフェで88日働いても、ビザ延長には1日もカウントされません。

 この違いを知らないまま1年目を過ごし、延長申請の段階で気づく。
オーストラリアのワーキングホリデーで最も多い失敗のひとつです。

この記事では、2026年9月時点のオーストラリア内務省の公式情報をもとに、申請から延長、税金までを整理します。


CONTENTS

2026年に変わったことは何ですか?

2026年7月のオーストラリアワーホリ変更点(申請料・年齢上限・審査状況)の比較表
2026年に変更されたオーストラリアワーホリの4つの主要条件

 申請料、年齢上限、審査の状況、就労制限の免除範囲
この4つが動きました。

変更点内容発効時期
申請料の改定ファースト840豪ドル、セカンド・サード各1,000豪ドル2026年7月1日
年齢上限の拡大キプロス・フィンランド・ドイツ・韓国が18〜35歳に。日本は30歳のまま2026年7月1日
審査の優先順位国内申請を優先。国外からの申請に数か月かかるケースが発生2026年時点で継続中
6か月就労制限の免除観光・ホスピタリティ、介護、保育などがオーストラリア全土で免除継続適用中

出典:Department of Home Affairs(2026)

 日本人にとって最も影響が大きいのは、年齢上限の据え置きです。
韓国が35歳になったことで、日本との差が明確になりました。
詳しくは後述します。


オーストラリアのワーホリとは、どんな制度ですか?

オーストラリアワーホリ(サブクラス417)の概要と抽選制に関する誤解の図解
発給枠なし・英語力要件なしのサブクラス417ビザ概要

サブクラス417(Working Holiday visa)という名称のビザで、条件を満たせば最長3年間滞在できます

 日本とオーストラリアのワーキングホリデー制度は、1980年12月1日に開始されました。
日本にとって最初の協定国です(外務省,2026)。

項目内容
ビザの正式名称Working Holiday visa(subclass 417)
所管Department of Home Affairs(内務省)
年間発給枠なし(日本国籍者への上限は設定されていない)
基本の滞在期間12か月
最長滞在期間3年(セカンド・サードビザを取得した場合)
申請方式通年・オンラインのみ
年齢(日本国籍)申請時に18歳以上30歳以下
英語力の要件なし

出典:Department of Home Affairs(2026)、外務省(2026)

 発給枠がなく、英語力の証明も不要です。カナダのような抽選もなく、アイルランドのような募集期間の制限もありません。条件を満たせば、いつでも申請できます。

「オーストラリアのワーホリが抽選制になった」は誤りです

2026年にインターネット上で広まっている情報ですが、日本国籍者には関係ありません。

 オーストラリアには2種類のワーホリビザがあります。
日本が対象のサブクラス417と、別の国々が対象のサブクラス462です。
抽選(バロット)が導入されたのは462のほうで、対象は中国・インド・ベトナムなどの国籍者です(Department of Home Affairs,2026)。

日本国籍者が使う417に、抽選はありません。


申請に必要な条件は何ですか?

オーストラリアワーホリの申請要件(年齢・資金5000豪ドル・申請料840豪ドル)のリスト
資金証明約5,000豪ドルと申請料840豪ドルなどの必須申請要件

年齢・資金・書類の3つが主な要件です。2026年7月1日に申請料が改定されました。

項目条件
年齢申請時に18歳以上30歳以下(31歳の誕生日の前日まで)
資金証明約5,000豪ドル + 出国用の航空券代(またはその資金)
申請料(ファースト)840豪ドル
申請料(セカンド・サード)各1,000豪ドル
申請方法ImmiAccount からオンライン申請のみ
健康診断・無犯罪証明要請があった場合のみ
保険加入義務ではない(ただし強く推奨されている)
扶養する子ども同伴不可
豪州政府への債務未納がないこと

出典:Department of Home Affairs(2026)。金額は2026年9月時点。

 資金証明の5,000豪ドルは、2026年8月17日のレート(1豪ドル=112.83円)で約56万円です。申請料840豪ドルは約9万5千円にあたります。

 保険が義務でない点は、他国と大きく違います。
ドイツやフィンランドでは加入証明の提出が必須ですが、オーストラリアは任意です。

 ただし内務省は、滞在中の医療費は一時滞在者に一切補償されず全額自己負担になるため、十分な補償を持つ保険への加入を強く推奨しています。義務でないことと、不要であることは違います。

日本からの申請では、指紋採取は原則不要です

 オーストラリアは特定の国からの申請者に生体認証(指紋と顔写真)の提供を求めていますが、2026年9月時点で日本はその対象国に含まれておらず、日本国内に収集施設もありません

 そのため、日本国内から申請する日本国籍者は、原則として生体認証の提供が免除されます。

 仮にシステム上で自動的に要求レターが発行された場合でも、日本に滞在していることを示す書類と、日本には収集施設がない旨の説明をアップロードすることで、審査官の判断により免除手続きが進みます。慌てる必要はありません。

戸籍謄本などの英訳には、資格が必要です

 日本語で発行された公的書類を提出する場合、自己翻訳は認められません。

 NAATI(オーストラリア翻訳通訳資格認定機関)の認定翻訳者、または日本国内のプロの翻訳者による英訳文が必要です。翻訳文書には翻訳会社の公式スタンプ、翻訳者の署名、連絡先の明記が必須条件となります。

この準備には時間がかかります。申請スケジュールを組む際は、翻訳の手配期間を見込んでください。


審査にはどれくらいかかりますか?

内務省公表のオーストラリアワーホリ審査期間データと国外申請の遅延リスク
審査期間の中央値は3日だが、日本からの申請は遅延に注意

書類が完璧なら数日です。
不備があると数か月かかります。

内務省が2026年9月4日に公表したサブクラス417の審査時間データは次のとおりです。

処理割合審査完了までの日数
50%(中央値)3日以内
75%13日以内
90%20日以内

出典:Department of Home Affairs(2026)。2026年9月4日公表データ。

 9割が20日以内に処理されています。
書類が揃った「審査可能な状態」で申請すれば、数日でビザが下りる可能性が高い。

ただし、日本からの申請には遅延リスクがあります

 内務省は公式に、オーストラリアには現在、記録的な数のワーキングホリデー渡航者がおり、需要に対応するため国内からの申請を優先していると告知しています。その結果オーストラリア国外からの申請の一部は、決定までに数か月を要するケースが発生しているとされています(Department of Home Affairs,2026)。

日本から申請する人は、この「国外からの申請」にあたります。

 遅延の主な原因は、書類の不備による追加情報要求です。資金証明書が添付されていない、翻訳が要件を満たしていない、無犯罪証明が不足している。こうした不備があると、審査は止まります。

だから、許可が出る前に航空券を買ってはいけません

ここが実務上、最も重要です。

内務省は、ビザが許可される時点で、申請者が正しい場所にいる必要があると規定しています。

  • 国外(日本など)で申請した場合 → 許可される時点でオーストラリアの外にいなければならない
  • オーストラリア国内で申請した場合 → 許可される時点でオーストラリア国内にいなければならない

日本から申請して、許可を待たずに観光目的などで入国してしまうと、その時点でビザが発給されません。

内務省自身が、ビザが許可されるまで航空券の予約や、キャンセル不可の旅行・就学の手配を絶対に行わないよう警告しています(Department of Home Affairs,2026)。


なぜ日本人は30歳まで、韓国人は35歳までなのですか?

国籍別(韓国・英国・日本)のオーストラリアワーホリ条件・年齢上限の比較図
韓国などは35歳に引き上げられたが、日本国籍者は30歳までのまま

二国間の取り決めが国ごとに違うためです。そして、その差は2026年に広がりました。

もともと35歳だった国——英国、カナダ、フランス、アイルランド、デンマーク、イタリア

 2026年7月1日から35歳になった国——キプロス、フィンランド、ドイツ、韓国(Department of Home Affairs,2026)

 この4か国の国籍者は、36歳の誕生日の前日の午後11時59分(オーストラリア東部標準時)まで申請できるようになりました。

日本は、この対象に含まれていません。日本国籍者の年齢上限は、引き続き18歳以上30歳以下です。

差は年齢だけではありません

 英国籍者は、豪英自由貿易協定に基づき、2024年7月1日以降、セカンド・サードビザの取得に必要な指定労働が完全に撤廃されました(Department of Home Affairs,2025)。日本国籍者には、この免除は適用されません。

 同じオーストラリアで、英国人は35歳まで申請でき、農作業なしで3年滞在できます。日本人は30歳まで、指定労働を合計9か月こなして3年です

 これは日本人の努力とは無関係の、制度上の差です。
渡航を検討する段階で知っておくべき事実だと考えています。


同じ職場で1年間働き続けられますか?

ビザ条件8547(同一雇用主6か月制限)の全土自動免除対象職種のリスト
観光・ホスピタリティや介護はオーストラリア全土で1年就労が可能

業種によっては、できます。ここは誤解が多い部分です。

 ワーキングホリデービザにはビザ条件8547が付いており、原則として同一雇用主のもとで働けるのは6か月までとされています。

 しかし現在、内務省は広範な自動免除を設けています。
以下に該当する場合、事前の許可申請なしに、ビザの有効期間中ずっと同じ雇用主のもとで働けます(Department of Home Affairs,2026)。

免除の種類対象地域内容
重要セクターオーストラリア全土農業、食品加工、医療、高齢者・障害者介護、保育、観光・ホスピタリティ
動植物の栽培・飼育オーストラリア全土収穫、梱包、畜産、酪農、食肉処理
北部オーストラリアの特定産業北部オーストラリア漁業・真珠養殖、林業、建設、鉱業
自然災害の復旧作業オーストラリア全土森林火災、洪水、サイクロンの被災地支援
勤務場所の変更全土同じ企業でも拠点が変われば、各拠点6か月まで。オフィス勤務から在宅勤務への変更も「場所の変更」に該当

出典:Department of Home Affairs(2026)

最も大きいのは、観光・ホスピタリティと各種介護・保育が、オーストラリア全土で免除されている点です。

 つまり、シドニーやメルボルンのホテル、カフェ、レストラン、保育施設で、1年間ずっと同じ雇用主のもとで働けます。雇用主にとっても採用・教育コストを抑えられるため、ワーホリ渡航者の採用価値が高まっています。

免除に該当しない場合は、事前申請が必要です

 一般的なオフィスワークや小売業で6か月を超えて働きたい場合は、雇用主を通じて内務省に事前の延長許可を申請する必要があります。申請は6か月の就労期間が満了する少なくとも2週間前までに、オンラインフォームで提出します。

 ただし許可の基準は厳格で、フルタイム就労が可能な別のビザを申請中である場合や、その従業員が雇用主の事業に不可欠で代替人員の確保が困難だと書面で証明できる場合など、例外的な状況に限られます。

 なお、雇用主が無許可で6か月を超えて雇用し続けた場合、移民法に基づく民事罰や刑事責任を問われるリスクがあります。雇用主の側にも負担があることを理解しておくと、交渉がしやすくなります。


セカンドビザ・サードビザを取るには何が必要ですか?

セカンドビザ指定労働(88日)の対象地域(北部・遠隔地)と主要都市の違いの図解
セカンドビザ指定労働(88日)の対象地域(北部・遠隔地)と主要都市の違いの図解

指定された地域での、指定された労働です。
そしてここに、この記事の冒頭で触れた落とし穴があります。

ビザ必要な条件
セカンドビザ(2年目)1年目のビザ期間中に、3か月(88日相当)の指定労働を完了
サードビザ(3年目)2年目のビザ期間中に、6か月の指定労働を完了

出典:Department of Home Affairs(2026)

 サードビザの指定労働には、期間の扱いに補足があります。6か月の指定労働は、セカンドビザの有効期間中に完了するのが原則です。ただし、セカンドビザが期限切れになった後に発効したブリッジングビザの期間中に行った指定労働も、日数として認められます。

 ブリッジングビザとは、次のビザの審査を待つ間、オーストラリアに合法的に滞在できるようにする一時的なビザのことです。セカンドビザの満了が近づいた段階で指定労働の日数が足りていない場合でも、この期間を使って要件を満たせる可能性があります。

【重要】同じ「観光・ホスピタリティ」でも、対象地域が違います

 先ほど、観光・ホスピタリティはオーストラリア全土で6か月制限の免除対象だとお伝えしました。

 しかし、セカンドビザの指定労働として認められる観光・ホスピタリティは、北部オーストラリアおよび遠隔地・超遠隔地に厳格に限定されています。

制度観光・ホスピタリティの対象地域
条件8547(6か月制限)の免除オーストラリア全土
セカンド・サードビザの指定労働北部・遠隔地・超遠隔地のみ

シドニー、メルボルン、パース、ゴールドコーストのカフェやホテルで88日働いても、ビザ延長には1日もカウントされません。

指定労働として認められる産業と地域

産業対象地域業務例
動植物の栽培・飼育広範な地方地域果樹園での収穫、野菜の梱包、ブドウの剪定、家畜の飼育・搾乳
建設業北部オーストラリアおよび特定地域足場組み、造園、土木工事、塗装
鉱業北部オーストラリアおよび特定地域採掘、油田・ガス田作業、採石
漁業・真珠養殖北部オーストラリアおよび特定地域漁船の甲板員、養殖場での作業
観光・ホスピタリティ北部・遠隔地・超遠隔地のみホテル・ホステル従業員、ツアーガイド、ダイビングインストラクター
自然災害の復旧政府が指定した被災地の郵便番号フェンス再建、野生動物保護、洪水後の清掃

出典:Department of Home Affairs(2026)

 産業と地域の両方を満たす必要があります。職種の名前だけで判断できません。働き始める前に、その勤務地の郵便番号が対象地域かどうかを内務省のページで確認してください。

日数はフルタイム換算です

 88日という数字は暦日ではなく、その産業のフルタイム労働者と同等の時間数で計算されます。

 週5日フルタイムで働けば、約3か月で88日の要件を満たします。一方、週2日のパートタイムでは、3か月在籍しても88日には届きません。この場合、半年以上の継続が必要になります。

証拠書類を必ず保管してください

指定労働の完了を証明するには、次の書類が必要です。

  1. 給与明細(雇用主名、ABN、勤務地の住所、勤務日数が記載されたもの)
  2. 銀行の取引明細(給与が雇用主から振り込まれた記録)
  3. 歩合制契約書(歩合制で働いた場合、単価と測定方法が明記された署名入りの合意書)
  4. 個人の就労日記(いつ、どこで、誰のために、何時間働いたかの記録)

無給のボランティアと、記録の残らない現金手渡しの就労は、一切カウントされません。


どれくらい稼げますか?

オーストラリア最低時給(26.44豪ドル)とワーホリ税率(15%)の解説図
最低時給26.44豪ドルと登録雇用主でのワーホリ税率15%

職種と働き方によって、大きく変わります。

 オーストラリアの法定最低賃金は、2026年7月1日から時給26.44豪ドル(週給1,004.90豪ドル)です(Fair Work Commission,2026)。2026年8月17日のレートで、時給約2,980円にあたります。

これは下限であって、実際の稼ぎとは別の話です。

 私自身、かつてオーストラリアでワーキングホリデーを経験したとき、時給36〜63豪ドルの仕事に就いていました。法定最低賃金の1.4〜2.4倍です。日本人がほとんどいない地域でハウスキーパーをしていた時期のことです。

 逆に言えば、都市部の日本食レストランなどで最低賃金に近い条件で働けば、生活費を稼ぐだけで1年が終わります。どこで、何をして働くかを自分で選べるかどうかが、収入を左右します。

出来高払いにも、最低時給の保証があります

 農業の現場では、収穫量に応じて賃金が決まる歩合制(ピースレート)が使われることがあります。

 かつては最低時給の概念が曖昧でしたが、2022年4月28日の園芸業アワード改正により、すべての歩合制労働者に最低時給保証が導入されました(Fair Work Commission,2022)。

 天候不良や不作で収穫量が少なくても、作業スピードが遅くても、雇用主は法定の最低時給を基礎とした賃金を支払わなければなりません。

 さらに、有給休暇などが付かないカジュアル雇用の場合、基本の最低時給に25%のカジュアル・ローディングが上乗せされます。

税金を引かれた後の金額で考えてください

 ワーキングホリデー渡航者には、独自の税率が適用されます。

課税対象所得税率
0〜45,000豪ドル15%
45,001〜135,000豪ドル6,750豪ドル + 45,000豪ドル超過分に30%

出典:Australian Taxation Office(2026)。2025-26年度の税率。

 ただし、この15%が適用されるには条件があります。雇用主がオーストラリア国税庁に「登録ワーキングホリデーメーカー雇用主」として事前登録している必要があります。

 未登録の雇用主のもとで働くと、所得の最初の1ドルから32.5%が源泉徴収されます。働き始める前に、雇用主の登録状況を必ず確認してください。

年金の還付は、全額戻りません

 オーストラリアでは、雇用主が給与とは別に退職年金(スーパーアニュエーション)を拠出します。出国してビザが失効した後、DASP(Departing Australia Superannuation Payment)として引き出せます。

 ただし、ワーキングホリデー渡航者には引き出し時に通常の労働者より高い税率が課され、全額がそのまま戻るわけではありません。「帰国時のボーナス」として過大な期待をしないほうが安全です。正確な税率は国税庁のページで確認してください。

不当な扱いを受けたら、通報してください

 地方の農場などで、最低賃金を下回る報酬を支払う悪質な雇用主が問題になっています。

 一部の雇用主は「労働基準局に不満を言えばビザを取り消させる」と労働者を脅すことがありますが、ビザの付与・拒否・取り消しの権限を持つのは内務省だけです。雇用主にビザを取り消す権限は一切ありません。

 オーストラリア政府は保証プロトコル(Assurance Protocol)を設けており、搾取を受けた渡航者がフェアワーク・オンブズマンに相談した場合、仮に意図せずビザ条件に違反していたとしても、直ちにビザが取り消されることはないよう保護の仕組みを設けています。

 躊躇せず通報してください。


現地で語学学校には通えますか?

就学上限4か月(17週間)で到達可能な英語レベル(A2)の限界と残り期間の働き方
語学学校は最大4か月まで。到達できる英語力は日常会話レベル

最大4か月(17週間)までです。

 12か月の滞在中、語学学校に通えるのは4か月が上限です(Department of Home Affairs,2026)。制度上の上限であり、超過するとビザ条件の違反になります。

1年間ずっと語学学校に通うことはできません。

 ケンブリッジ公式が示す指導学習時間(Guided Learning Hours)の目安では、英語のレベルをひとつ上げるのに約200時間が必要とされています。フルタイムで週25時間学ぶとすると、4か月(約17週間)で425時間。到達できるのは、おおよそ2レベル分です。

 完全な初学者から始めた場合、4か月後に届くのは基礎的な日常会話のレベルです。職場で意見を述べたり議論に参加したりするレベルには、物理的に届きません。

国ごとの就学上限は、別記事で詳しく解説しています。

ワーホリで語学学校に通える期間の国別上限


日本人は、実際にどれくらい行っていますか?

日本人ワーホリビザ発給件数の推移とファースト・セカンド・サードの内訳グラフ
コロナ前比136%に増加。サードビザ取得者が5倍に急増

コロナ前の水準を大きく上回っています。

年度発給件数
2014-1511,481
2015-1612,304
2016-1711,061
2017-1810,987
2018-1911,933
2019-208,089
2020-211,558
2021-225,170
2022-2314,398
2023-2417,095
2024-2516,182

集計期間は各年7月1日〜翌年6月30日。出典:2014-15〜2019-20年度はDepartment of Home Affairs(2020)情報公開請求開示資料、2020-21年度以降はDepartment of Home Affairs(2025)

 コロナ前の2018-19年度が11,933件、直近の2024-25年度が16,182件。36%増えています。

内訳を見ると、行動の変化がわかります

ビザ区分2024-25年度2023-24年度増減
ファースト(1年目)10,920件14,290件−23.6%
セカンド(2年目)4,126件2,579件+60.0%
サード(3年目)1,136件226件+402.7%
合計16,182件17,095件−5.3%

出典:Department of Home Affairs(2025)

 新しく渡航する人は減り、3年目に入る人は5倍に増えました。

 サードビザ1,136件という数字は、指定労働を合計9か月こなした日本人がそれだけいたということです。1年で帰る「体験」から、3年かけて働く「就労」へと、性質が変わりつつあります。

ワーホリ人気国ランキング|政府統計の発給数で比較


ワーホリに行けば、英語は話せるようになりますか?

渡航前の英語学習と複雑なワーホリ制度の理解が成果を分ける仕組みの図解
渡航前の英語準備と公式情報の解読力が1年後の成果を決める

 環境に身を置くだけでは、期待するほど伸びません。
制度そのものがそれを示しています。

 ここまで見てきたとおり、語学学校に通えるのは最大4か月。残りの8か月は、英語を「学ぶ」のではなく「使いながら働く」時間になります。

 そして働く現場は、多くの場合ホスピタリティや農業といった、決まったやり取りの繰り返しが中心になる職種です。そこで身につくのは業務に必要な範囲の会話であり、議論したり自分の考えを組み立てて伝えたりする力とは別のものです。

 海外に行けば自然に力がつく、という前提そのものを疑う必要があります。この点については、867の研究を統合したメタ分析が示した知見があります。「環境に浸すだけ」のモデルは効果が低く、明示的な指導と対話を組み合わせたときに初めて成果が出る——詳しくは権威ハブ記事で解説しています。

留学と批判的思考|867の研究が示したこと

制度の複雑さが、そのまま結果の差になります

 オーストラリアのワーキングホリデーは、この記事で見てきたとおり条件が細かく、しかも同じ言葉が制度によって違う範囲を指します。観光・ホスピタリティの地理的定義がその典型です。

この複雑さを自分で読み解けるかどうかが、1年後の結果を分けます。

 周囲のワーキングホリデー経験者から聞いた断片的な情報だけで動くと、その人が経験した範囲でしか判断できません。公式情報を自分で確認し、足りない部分は人に聞き、計画を立てる。これができる人は、条件が複雑であることをむしろ有利に使えます。

 日本国籍者の初回417ビザの承認率は99.9%です(Department of Home Affairs,2025)。ザはほぼ確実に下ります。問題は、下りたあとの1年をどう設計するかです。

 18年間、留学の現場を見てきて確信していることがあります。成果を出す人は、渡航前にすでに英語の土台を作り、渡航後の計画を持っている人です。現地で何とかしようとした人ではありません。

 自分がどちらのタイプか確かめたい方は、5つの問いで判断できます。

ワーホリに向いている人、向いていない人を判断する5つの問い

 渡航先を他国と比較したい方は、32か国の全リストをご覧ください。

ワーキングホリデー国一覧|32か国の発給枠と条件


よくある質問

ワーホリの語学学校に関するよくある質問

Q1. 2026年にオーストラリアのワーホリは何が変わりましたか?

 4点が変わりました。
2026年7月1日に申請料が改定され、ファーストビザが840豪ドル、セカンド・サードが各1,000豪ドルになりました。同じ日から、キプロス・フィンランド・ドイツ・韓国の国籍者は年齢上限が35歳に引き上げられています(日本は30歳のまま)。また内務省は国内からの申請を優先しており、日本を含む国外からの申請に数か月かかるケースが生じています。同一雇用主6か月制限については、観光・ホスピタリティや介護・保育がオーストラリア全土で免除されています。

Q2. シドニーのカフェで88日働けば、セカンドビザは取れますか?

取れません。セカンドビザの指定労働として認められる観光・ホスピタリティは、北部オーストラリアおよび遠隔地・超遠隔地に限定されています。シドニー、メルボルン、パース、ゴールドコーストなどの主要都市での就労は、ビザ延長の日数にカウントされません。一方、同一雇用主6か月制限の免除としては、観光・ホスピタリティはオーストラリア全土が対象です。この2つの制度は地理的な範囲が異なります。

Q3. オーストラリアのワーホリビザの審査にはどれくらいかかりますか?

内務省が2026年9月4日に公表したデータでは、申請の50%が3日以内、75%が13日以内、90%が20日以内に処理されています。ただし内務省は国内からの申請を優先しており、日本を含む国外からの申請には数か月を要するケースがあると告知しています。書類の不備による追加情報要求が遅延の主な原因です。

Q4. ビザの許可を待たずにオーストラリアへ入国してもいいですか?

いけません。国外で申請した場合、ビザが許可される時点でオーストラリアの外にいる必要があります。許可前に入国すると発給されません。内務省は、ビザが許可されるまで航空券の予約やキャンセル不可の手配を行わないよう警告しています。

Q5. オーストラリアのワーホリは抽選制になったのですか?

日本国籍者には関係ありません。抽選(バロット)が導入されたのはサブクラス462で、対象は中国・インド・ベトナムなどの国籍者です。日本国籍者が使うサブクラス417には年間発給枠がなく、抽選もありません。条件を満たせば通年で申請できます。

Q6. 同じ職場で1年間働き続けられますか?

業種によっては可能です。観光・ホスピタリティ、農業、食品加工、医療、高齢者・障害者介護、保育は、オーストラリア全土で6か月制限が自動的に免除されます。また同じ企業でも勤務拠点が変われば各拠点6か月まで働け、オフィス勤務から在宅勤務への変更も「場所の変更」に該当します。これらに当てはまらない業種で6か月を超えたい場合は、雇用主を通じて事前に許可申請が必要です。

Q7. サードビザの指定労働は、いつまでに終えればいいですか?

原則としてセカンドビザの有効期間中です。ただし、セカンドビザが期限切れになった後に発効したブリッジングビザの期間中に行った指定労働も、日数として認められます。セカンドビザの満了時点で6か月に届いていない場合でも、この期間を使って要件を満たせる可能性があります。

Q8. オーストラリアのワーホリの申請料はいくらですか?

2026年9月時点で、ファーストビザが840豪ドル、セカンドビザとサードビザがそれぞれ1,000豪ドルです。2026年7月1日に改定されました。このほか、健康診断や無犯罪証明の取得費用が別途発生する場合があります。

Q9. ワーホリの税率はどれくらいですか?

課税対象所得45,000豪ドルまでは15%です。ただしこの税率が適用されるには、雇用主がオーストラリア国税庁に「登録ワーキングホリデーメーカー雇用主」として登録している必要があります。未登録の雇用主のもとで働くと、最初の1ドルから32.5%が源泉徴収されます。就労開始前に確認してください。


この記事を書いた人

増本 圭(ますもと けい)

 国際教育に携わって18年。うち12年はアメリカ留学の支援を担当し、現在はフィリピン留学コンサルタント「CebuGo」を運営しています。

 自身も社会人になってから英語を学び直し、最初の留学先はフィリピンでした。その後オーストラリアとカナダで学んだ経験から、大人の初学者がつまずくポイントを実感を持って理解しています。

 現在は、海外留学環境が学習者の批判的思考の発達にどう影響するかをテーマに、人材育成学会で博士研究に取り組んでいます。NPO法人留学協会所属。日本語・韓国語・英語のトリリンガル。


制度を正しく理解したうえで、1年を設計しませんか

 オーストラリアのワーキングホリデーは、条件が細かく、しかも頻繁に変わります。観光・ホスピタリティの地理的定義のように、知らないまま1年を過ごすと取り返しがつかない条件もあります。

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参考文献

Australian Taxation Office. (2026). Working holiday maker net income and tax rates. https://www.ato.gov.au/

Cambridge Assessment English. (2026). International language standards. https://www.cambridgeenglish.org/

Department of Home Affairs, Australian Government. (2020). Visa applications granted where financial year between 2014-15 to 2019-20 by citizenship (FOI request 20/10/00176, DD-3825.02). https://www.homeaffairs.gov.au/

Department of Home Affairs, Australian Government. (2025). Working Holiday Maker visa program report: 30 June 2025. https://www.homeaffairs.gov.au/research-and-stats/

Department of Home Affairs, Australian Government. (2026). Specified work conditions. https://immi.homeaffairs.gov.au/what-we-do/whm-program/specified-work-conditions

Department of Home Affairs, Australian Government. (2026). Visa condition 8547 — 6-month work limitation. https://immi.homeaffairs.gov.au/what-we-do/whm-program/specified-work-conditions/6-month-work-limitation

Department of Home Affairs, Australian Government. (2026). Working Holiday Maker program — latest news. https://immi.homeaffairs.gov.au/what-we-do/whm-program/latest-news

Department of Home Affairs, Australian Government. (2026). Working Holiday visa (subclass 417). https://immi.homeaffairs.gov.au/visas/getting-a-visa/visa-listing/work-holiday-417

Fair Work Commission. (2022). Horticulture Award 2020 (MA000028) — piece rates variation. https://www.fwc.gov.au/

Fair Work Commission. (2026). Annual wage review 2025–26 decision. https://www.fwc.gov.au/

外務省. (2026). ワーキング・ホリデー制度(令和8年4月1日現在). https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/working_h.html


 本記事の制度情報は2026年9月時点でオーストラリア内務省・国税庁・フェアワーク委員会の公式資料を確認したものです。審査期間・ビザ要件・申請料・最低賃金・税率・指定労働の対象地域は変更されることがあります。円換算は2026年8月17日時点の為替レート(1豪ドル=112.83円)による目安です。申請前に必ず各当局の公式ページでご確認ください。

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